反物質の作りかたを教えて下さい反物質の作りか
反物質の作りかたを教えて下さい反物質の作りかたを教えて下さい 映画「天使と悪魔」の影響かな・・・「理論物理学」のところの研究室(東京大学の早野さん)にも同じような質問が殺到していると聞いています。
さて、少しずつ説明しておくと・・・。
1.まず「電子」または「陽子」を作り出すのですが、これは「水素原子」をイオン化する(陽子)、または「ブラウン管」(CRTと同じ)くして陰極管という電子ビームを発生させる装置を使います。簡単にしてしまうと、水素のイオン化は、真空中に僅かに入れた水素に雷放電(プラズマ放電)を起こして、電子を剥ぎ取り作り出します。電子の場合には、物理の実験などで使う陰極線管と同じくして、真空中に高電圧を掛けた装置で作り出します。
2.作り出した「陽子」を、電磁場を使った装置(超伝導加速度風洞)を用いて、加速します。具体的には、電磁場を超高周波で駆動して、「ローレンツ力(フレミングの左手の法則)」を用いて加速します。「電子」の場合も同じ。
この際加速は、陽子がプラスの電荷を、電子はマイナスの電荷を持ちますので、完全に別々に加速します。
3.加速した「陽子」及び「電子」を、別々に「タングステン」などの金属に照射します。ここで、電子や陽子は、エネルギーに変ります(E=mc^2)。このエネルギーによって、僅かですが対生成が起こり、「反陽子」と「陽電子」が生まれます。大体計算してみると、10^-42位の確率。
4.僅かに生まれた、「反陽子」と「陽電子」は、すぐに崩壊してしまうので、再び別の加速器(超伝導加速度風洞)で加速します。これによって、特殊相対性理論から明らかになるように、「反陽子」と「陽電子」の時間が遅くなり、寿命が延びます。
5.蓄積リングというところに通して、「確立冷却法」によって、「反陽子」と「陽電子」のビームの位相をそろえます。ド・ブロイの法則によって、加速した素粒子は、物質波という存在になるため、位相をそろえないと・・旨くあわせられない。
6.位相をそろえたビームを徐徐に減速して、「反陽子」と「陽電子」のビームを衝突させます。素粒子の実験などでは、加速したまま衝突実験をして、「対称性の破れ」などを検出しますが、「反物質」を作る場合には、減速します。
7.位相の揃ったビームは、反物質になります。確率では、アボガドロ数分の反陽子と陽電子で、一秒間に「数個」ぐらい出来ます。
まあ、こんな感じですね。だから、0.1グラム作るだけでも・・・今の宇宙の年齢以上の時間がかかります。