源氏物語の夕顔で

源氏物語の夕顔で

御車いれさせて、西の対に御座などよそふほど、高欄に御車引きか...源氏物語の夕顔で

御車いれさせて、西の対に御座などよそふほど、高欄に御車引きかけて立ち給へり。右近、艶なる心地して、来し方のことなども、人知れずお思ひ出でけり。預かり、意味じく経営しありくけしきに、こ の御ありさま知り果てぬ。

ほのぼのともの見ゆるほどに、下り給ひぬめり。かりそめなれど、清げにしつらひたり。「御供に人も候はざりけり。不便なるわざかな。」とて、むつましき下家司にて、殿にもつかうまつる者なりければ、参り寄りて、「さるべき人、召すべきにや。」など申さすれど、「ことさらに人来まじき隠れ家、求めたるなり。さらに心よりほかに漏らすな。」と、口がためさせ給ふ。御粥など急ぎ参らせたれど、取り次ぐ御まかなひ、うちあはず。まだ知らぬことなる御旅寝に、息長川と契り給ふことよりほかのことなし。

日たくるほどに起き給ひて、格子、手づから上げ給ふ。いといたく荒れて、ひと目もなく、はるばると見わたされて、木立いと疎ましく、ものふりたり。け近き草木などは、ことに見どころなく、みな秋の野らにて、池の水草に埋もれたれば、いとけ疎げになりにける所かな。別納の方にぞ曹司などして人住むべかめれど、こなたは離れたり。「け疎くもなりにける所かな。さりとも、鬼なども我をば見許してむ。」とのたまふ。顔はなほ隠し給へれど、女のいとつらしと思へば、げにかばかりにて隔てあらむも、ことのさまにたがひたりとおぼして、「夕露にひもとく花は玉ぼこのたよりに見えし縁にこそありけれ露の光やいかに。」とのたまへば、後目にみおこせて、

光ありと見し夕顔の上露はたそかれ時の空目なりけり

と、ほのかに言ふ。をかしとおぼしなす。げに、うちとけ給へるさま、世になく、所がら、まいてゆゆしきまで見え給ふ。

 

 

を現代語訳おねがいします。

出展 源氏物語「夕顔」至急です。おねがいします。図書館で、小学館の古典全集を調べたらどうですか。